highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

2022 Perth-Augusta-Perth 1200: Day 3 Nannup-Collie

起きて準備をする。Nannupは今日まで。この日の夜はCollieという町のナイトコントロールになるので、荷物をきちんとまとめておく。

5時半頃に準備をして出発しようとしたところに、Wayneがバンに乗って到着した。どうやらDNFした方を回収してきたようだ。そしてちょうど雨も降り出した。1日目、2日目に続いて3日目も雨である。

ワタシ「前夜祭で四日とも天気はいいって言ってたじゃないか」

Wayne「うぇっへっへー」

こういう実に微妙な笑いで誤魔化すの、ブルベ界では世界共通なのかもしれない。

この日も2日目に続いて結構タフなコースと予想される。Nannupから一つ大きな丘を超え、BridgetownやBoyup Brookを通過した後はKojonupまで延々とアップダウンが続くNothing Exists区間を行かねばならない。距離は300kmそこそこなので1日目、2日目より短いが、大変さはあまり変わらないだろう。

Bridgetownに到着するまでに後続勢にばんばん抜かれる。オーストラリア勢、結構お腹が出ていたりするのだけど、とにかくガタイがよくてパワフル。今回の参加者は19人でちょうど自分が真ん中ぐらいで、毎日日付が変わる頃に到着して5〜6時頃に出発するというスケジュール感で走っているライダーでは最後尾という感じだったけど、その中では自分は圧倒的に脚力で負ける感じ。同じ時間に出てもオーバーナイトコントロールに到着するのは自分が1時間ぐらい遅い。PBPも70時間台で完走している人ばかりのようで、いやーただただ強いなと思うしかない。もうちょっと鍛えなあかん。

Nannupを出て最初の町Bridgetown。さすがに補給を入れておかないとやばいだろうと思い、メインストリートのようなところを通過したのでこれ幸いとIGAへ入る。

そしてBoyup Brookへ。766km地点。いよいよやばいというのでビジターセンターのトイレに駆け込む。PAPではキューシートがない代わりに、ブルベカードにやや詳細な情報が載っており、通過する町にスーパーがあるかどうか、公衆トイレがあるかどうか、ぐらいの情報がある。情報としては微々たるものだが、これだけが頼りだし、これ以上の情報は望むべくもない。

トイレ休憩の後、通りに面したベンチに座って一休みしていると、昨日のシークレットコントロールにいたPhilとCarolが車で通りかかった。

「ヘイ!マサル!もう終わりか!タクシー呼ぶか!」

なんだとこのやろう。ということで、Kojonupに向かって走り出す。

前回までの行き先Albany。今回はコースが大きく変わっているのです。

直線のアップダウンしかない。途中で止まって補給食を食べたりする。ただ、Boyup Brookでフィルに声をかけられたときに「Kojonupまでにシークレットコントロールがあるぞ!」とも言っていたので、Kojonupまでがんばる必要はなさそうだ。たぶん道路脇の駐車場みたいなところに車を停めてシークレットをやっているのだろう。とはいえ、何もないのだが。

Pマークを見つけたときは本当にうれしかった。人と会話ができる!

だいぶやられ顔になっているけど、ハムチーズサンドに加え、スープを飲んで復活。このチキン味のスープがえらいうまかった。そしてKojonupへ。

850km地点のKojonup。Kojonupまで来ると今度は進行方向を北へ変える。この変化だけでも気分転換になる。ナイトコントロールのCollieへ向かうという実感が湧くからだ。とりあえず、Kojonupでまたトイレへ行き、Darkanへ向かって走り出す。久々に掴んだ電波でSpotwallaを確認するも、前後は1時間以上離れているようで、まぁ今日はもう誰とも会わんなという状況であった。

日が暮れる。これこれ。こういう景色がいいんだよ。こういうオダックスライドがしたい。こういうのでいいんだよ。などと一人でぶつぶつ。

で、急に現れたのが羊の群れ。なんだよこれ。ちょっと圧倒されてしまった。迂回路はないんだぞ。どうしろというのだ。しかし私はPAPで学びました。ここまで散々、牛、馬、羊をコース沿いで見てきたのです。牛は人が来るとじっとこっちを見て目で追いかける、馬は人を無視して草を食べ続ける、羊は写真を撮ろうと柵に寄っていくと一目散に逃げていく、という傾向があることを実体験として学んでいたので、これは真ん中に突撃すればモーセのように群れが割れるだろうと。ということで、ライトを全開にして羊の群れに突っ込みます。メー!メー!と好戦的なやつもいたけど、そんなのはごく一部なので逃げ惑う羊の群れの真ん中を無事突破。

その先にシークレットコントロールで今度はPhilとCarolがいた。親離れさせられた羊の子の群れが親の群れのいる放牧地の前に集合しているのだと(親子が逆だったかもしれない)。また、ここまで読んでいると地名に「〜up」というものが多いなということに気づくと思うけど、Phil曰くアボリジニの言葉で「水のあるところ」という意味らしい。なるほど。のんびりと二人と喋っていると随分時間を使ってしまったので、すっかり日も暮れた。次のDarkanへ真っ暗な中を淡々と。

Darkanは932km地点。ここにはWayneとAdrianoがいた。元々指定されていた街のホテルは当然のように閉まっているので、さてどうしたものかと思っていたら、「こっちこっちー!」と呼ぶ声がする。

いろいろと補給できて助かった。自分の到着時は寒さがそれほどでもなかったので屋外で休憩していたけど、元々冷える地域らしく、後続組は、バスの中で休憩、そしてヒーターをつけ、最後には近くにあった完全に屋根と壁で防御されている公衆トイレの中で補給をしたそうだ。そこは数時間前にわしがPeeをしたとこやで。

DarkanからCollieへ向けては多少アップダウンがあるけど、そんなにひどいものではないよという(オージーの言葉がアテにならないことは学んでいるが)。残り64km、日付が変わるまでに到着するといいなーと出発。たしかにそんなにアップダウンはひどくない。ただ路面があんまりよくない。日本の雪国のようだ。Collieは鉱業の町らしく、大きいトラックがばんばん通っている。そういう影響かもしれない。あと、単調過ぎて眠くなってだいぶペースダウンした。

それにしてもこの区間を走っている時の満天の星空はすばらしかった。3日目にして夜にすかっと晴れているのは初。こんなにも星空がきれいだとは。思わず前照灯を消して星空を見上げていた。この景色は到底写真には収められないが、生涯忘れることはないだろうという美しさだった。Sachaがあれはstunningだったと言っていたけど、そう、beautifulどころではなかった。

そんなこんなで996km地点のCollieへは0019に到着。310kmぐらいに19時間近くかかっているので3日目が一番大変だったかも。ここは地元のサッカークラブのクラブハウスのようなところがコントロールになっている。

シャワーを浴び、飯を食う。4日目は200kmしかないし、5〜6時ぐらいに出れば日が暮れる前にフィニッシュに到着するだろうということで、ライトの充電はなし。Garmin Edgeも拡張バッテリーと合わせれば余裕で200kmは持ちそうなので、そういった電源の補充は一切やらず、自分の身なりだけを整えてさっさと寝た。