highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

GWの事故の後処理

GWに車にはねられた件、先日ようやく片付いた。事故処理の機会なんてそうそうないだろうからメモを残しておく。

事故の当日

5月5日の21時頃、青森市国道7号沢田交差点通過後、左後方から合流してきた車にはねられる。道路の真ん中に投げ出されるものの、幸運なことにすぐに起き上がり、自転車を拾い上げて歩道に退避。運転手が下りてきて警察と救急に電話をしてくれた。運転手は前方不注意でしたとの弁。自転車はざっと見たところ、ホイールが破損、フェンダーが破損、その他にも曲がっていたり傷が入っていて走行不能であった。そもそもホイールが回らないのではどうしようもない。

すぐに救急が到着した。救急車内で検査を受ける。ヘルメットの状況からして頭を打った形跡なしと判断された。雨だったためヘルメットの上からシャワーキャップをかぶっていたが、少し破れていて擦った傷ができていたものの、大きな衝撃が加わったとは想定しづらい状況。また、血圧なども異常なし。内臓にも違和感なし。腰の骨を押さえるものの痛みはなく、骨折はない模様。右脚の内側に打撲したような感覚あり(落車時にサドルなどで打った可能性大)。連絡先なども自分で記入可能で意識も問題なし。

以上のことから、救急車で青森市内の病院に搬送しても新たに何か症状が検出されるとは考え難く、今後の手間を考えると地元に戻ってから病院に行った方がいいのではと救急隊から提案された。自分もそちらの方が良いと判断して同意書にサインした。GWの終盤で休み明けからは仕事もあるし、青森で入院してしまうと後が面倒だし。

次はパトカーに移動して警察の担当者から事故の状況を聞かれ、調書を作成した。「前見てへんかったとはどういうことやねん!?」と加害者に対する感情はよくないが、法律に則って事を進めてほしいとお願いした。事故直後で痛みがないだけかもしれないので、地元に戻った後に病院に行くように警察からは念を押された。

東横イン新青森東口に宿を取っていたのでそこまで移動したいところであるが、救急や警察では自転車を持っていくことはルール上不可能だそうだ。今回の担当の警察署が青森の隣町の署だったため、警察預かりになったとしても警察署まで引き取りにいくのは手間がかかる。救急隊の方が自転車を載せて移動できないかといろいろとタクシー会社に掛け合っていただいたが、全てノーの返事。やはりロードバイクをそのままの状態で載せることは難しい。救急車が消防署まで帰る際に自転車だけを乗せて行って、当直明けの職員が青森方面へ帰宅する時に東横インに届けましょうかという裏技のような案も出してくれたが、最終的に加害車両の運転手が自分の車で東横インまで自転車を運ぶということになり、自分と同行者の分の二台を積み込み、我々はタクシーでホテルへ移動して投宿した。

救急隊の方は本当にいろいろ考えてくださってありがたかった。

事故の翌日

本来であれば大間へ向かって走行中だが、大間のホテル、津軽フェリー、函館のホテル、函館からの新幹線をキャンセルした。同行者とともに新青森駅から新幹線で帰京。

帰宅後、自身が加入している保険会社に事故の連絡をした。簡単な事故状況の説明の後、連休中なので休み明けに担当者から改めて連絡するとのこと。

GW明け

各種やり取り

休み明け早々の午前9時、自分の保険会社から連絡があった。補償の内容、弁護士特約、個人賠償についての説明を受ける。今回はこちらに過失はないはずだが、仮に責任割合が発生した場合は個人賠償の可能性があるため要相談だ。

午後、相手方の保険会社から連絡があった。事故の状況の聞き取りのみ。今後は保険会社同士でやり取りを進めていくとのこと。

その後、いつもお世話になっている自転車屋にも連絡をしておき、損害状況書類の作成を依頼。日を改めて自転車を持ち込むことにする。

さらにその後、警察の担当者と電話をした。診断書の内容によっては人身事故として捜査する必要があるので、病院に通院後、もう一度連絡がほしいとのこと。

夕方、近所の脳神経外科と整形外科の病院へ。診察と頭部のCTスキャン、胴体のレントゲンを取った。結果、特に事故によるものという異常は認められなかった(ただし、CTスキャンで気になる点があったので、これは後日MRIで確認することになった)。頭部打撲、左側胸部打撲、両足関節捻挫というのが診断書の内容。「この事故でこれならきみは丈夫だな(笑)」というコメントをもらった。おい、笑うところか。

翌日、警察署から連絡があった。診断書の内容はどうだったのかと。内容を説明の上で郵送することにした。警察としては人身事故にするか物損事故にするかで事故処理が異なるため、被害者である自分にはそこをはっきりしてほしいようだった。どうすればベストなのかわからないし、即答できるものでもないので一旦保留にした。

また、自分の保険会社からも連絡があった。相手の保険会社はこちらの走行方法に問題があったと主張し、こちら側に損害賠償を請求するかも知れないとのこと。おそらく相手の車のバンパーは破損しているだろう。こちらとしては走行方法に問題はなかったという認識であるが、交差点通過後の道路の形状が複雑なため、相手の出方次第である。過失がゼロではない場合は損害賠償が発生する可能性もあるということを言われた。

後日、自転車屋に自転車を持ち込んだ。傷がついていれば損害になるのでBBやブレーキキャリパー以外は損害扱い。なので、ほぼ全損といった状況。自転車屋としては元の状況に戻すにはどれぐらいかかるかという観点で見積もりを出すらしい。パーツが無事であれば申請をした上で古いパーツをそのまま使うということも可能ではあるらしい。ただまぁ傷モノになっているし、一見使えそうであっても事故の衝撃でどこまでダメージがあるかわからない。

助っ人

5月下旬、会社の後輩で前職でまさに保険会社で事故処理を担当していた方にいろいろ聞いた。事故の扱いをどうすりゃいいのかよくわからんしな。後輩の前職は相手方の保険会社であり、その旦那さんは今もその会社に勤めているのでこれは百人力である。

まず、人身事故、物損事故の扱いをどうするのかというのは刑事責任や行政処分に関わることであって、民事の賠償の過失割合には影響しないらしい。

今回の怪我による通院は自賠責の分でカバーされる程度の額にしかならないので、相手の保険会社の持ち出しはないと見られる。一日の通院で済んでいて少額なので傷害の方はすぐに片付くだろうという話だった。ちなみに病院の通院、治療費、薬代は相手の保険会社から直接支払われる。一方で、物損の賠償は自分の自転車、相手の車の修理代金と過失割合に左右されるので慎重に対応した方がよさそうだとのこと。

また、今回のケースであれば、警察に人身、物損のどちらにするかを届け出る必要はあまりないかもしれないそうだ。人身事故にして実況見分調書を作ったとしても、民事の賠償の過失割合で揉めたときに裁判官が参考にするぐらいである。であれば、青森まで出向く交通費などを考えると損になる可能性が高い。実況見分に出向く場合の交通費は請求できないらしい。これは実況見分への立ち合いは国民の義務であるからとのこと。

自転車の損害についての見解は以下の通り。今回は合流レーンでの事故であるが、どちらも動いていたのでたとえ自転車と自動車でも0:100にならないだろうと。今回のようなケースだと最大で2割か3割ぐらいは自転車側にも過失が認められる可能性があるそうだ。そうなったときはできる限り過失割合を低くするように交渉してもらうべきであるが、過去の判例からすると0:100になる可能性は限りなく小さいんじゃないかなということであった。運転手が自分の前方不注意で全面的に悪かったと言っていたとしても、それは保険会社の判断には関係ないらしい。おそらく車の前のバンパーが破損しているであろう相手の車の損害額と自分の自転車の損害額、それに過失割合が決まると賠償額は機械的に計算される。被害者としては納得しづらいがまぁそういうものです諦めてください、ということであった。なるほど。

過失割合に納得できない場合には弁護士特約を使って弁護士に頼んで交渉してもらうことになる。その際に実況見分調書があれば裁判所が参考にすることはあるけれども、実況見分調書はその時に出番があるぐらいで、そうでなければ別に人身事故にしたからといって受け取れる賠償額が増えるわけでもないとのこと。賠償はあくまで民事の話なので、警察に届け出る人身事故、物損事故の違いも自転車の賠償には関係ない。ネットにある情報は間違っているものが多いので、あまり参考にしない方がいいとのこと。

一通り話を聞いて方針は決まった。警察から人身事故にするのか?という電話も来なくなったし、こちらはもう放置でよかろう。わざわざ人身事故にして実況見分に出向いたとしても、交通費などは請求できないらしいし、人身事故にしたとしてもこちらの持ち出しは増えるし、それによって賠償額が増える可能性もほぼないなら、特に人身事故にする必要はない。ただ、物損事故で処理すると行政処分がなく、運転手の免許証の点数は減点されないのでそれはそれで被害者感情としてはモヤモヤは残るが。一応診断書を警察に提出しているので、それをもって人身事故扱いにしているケースもあるそうだが、もうそこはあまり拘らない。自転車の賠償をきちんとしてもらうということに絞って話を進めよう。

損害額の見積もり

そして、7月の下旬に賠償額の見積もりがきた。保険会社の基準で機械的にそれぞれのフレームやパーツ、ウェアの残存価値を計算して足し上げているだけのようだ。フレームは2017年のものだし、認定される価値はおそらく最低限度のものと思われる。日本だけでなくアメリカやフランス、オーストラリアに連れていって使い倒したフレームで愛着はあるが、そういうものであろうと納得した。ここは争うつもりなし。あとは過失割合が決まれば賠償額は決まる。

……としてから結構な時間が過ぎた。本当はPBPの前までに決着して気分よくフランスへ向かいたかったのだが。なかなか連絡が来ないのでこちらから自分の保険会社をつついておいた。

決着へ

PBPから帰ってきてしばらく経った8月末、ようやく相手方から過失割合の提案がきた。

どちらも動いていた者同士ということで、5:95の割合を提案された。加害者の運転手は自分が悪いと認めているそうだし、前述の通りどうやっても0にはならないと思われるので、これで受け入れると自分の保険会社へ連絡。2割、3割を想定していたのでこれなら全然問題ない。あちら側の車の修理費があるけど、こちらの過失割合は5%なので大した額ではない。これも保険でカバーされる。

そして9月中旬に傷害に関する免責証書を交わして決着。賠償金の振り込みなども全て終わった。

事故の処理なんて初めてのことでまったく知見がなく、会社の後輩に全面的にお世話になった。彼女の助言がなかったら右往左往していたと思う。こんなものはやらなくて済むならやらない方がよいし、ひとまずこの件が決着したのでほっとしている。あと、月並みであるが事故には気をつけましょうとしか言いようがない。

パナチタンもフレームに大きな傷は入ったけど、曲がっているようにも見えないので、使えるところは使ってローラー用マシンとして延命させるつもり。