highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

2018 Cascade 1200 Day 2 : Terrible thunderstorm!

スタッフにトントンと肩を叩かれて起きたのは6:00である。寝坊だ。やってしまった。体育館にはもう誰も寝てる人はいない。慌てて寝袋を片付け、慌てて朝食を取り、慌てて出発の準備をする。5:00には起きて6:00前には出発しているはずだったのに。というか、起こしてくれてありがとうとしか言い様がない。

準備をして外へ出ると、もうほとんどの人が出発している。残っている自転車はDNFした人とか、ギリギリでStevensonに到着した人のものだろうか。ちょうど姫井さんも準備をしているところだった。昨晩は道に迷ったりして大変だったらしい。結局スタートしたのは6:30なので、オーバーナイトコントロールのクローズ時間である。貯金ゼロからのスタートだ。

2日目のルートは以下の通り。

まずColumbia River沿いに東へ向かう。そして川沿いを離れて、荒野というのか、なんといえばいいのか、西部劇に出てきそうなエリアへ。アップダウンの連続があったり、渓谷を下って登り返したり、地平線に向かって走ったりと大陸の雄大さを感じる景色が続く。Hanford Siteの近くを通り、北上を続けてQuincyの町へ。名のある大きな峠はないものの、1000m近くまで登っているということもあり、なかなかにタフなルートである。また、1日目とは打って変って一気に暑くなるようだ。暑さは事前に聞いていたことなので、この日からハイドレーションパックを背負った。この日、自分のGarminでは40度まで気温が上がっていた。

景色が一変

慌てて飛び出したものの、Columbia River沿いは大きなアップダウンも信号もないので、アベレージの速度はどんどん上がり、すぐに貯金ができる。川沿いを離れる頃には特に時間に追われることもないぐらい貯金ができていたはず。気持ちに余裕があった。写真を撮っていないが、Columbia Riverの対岸に見えてた大きな山はMount Hoodというらしい。

川沿いを離れると一気に景色が変わる。すでに暑いのだが、さらに暑くなること間違いなしの空模様。

途中のKlickitatというところで先に出発していったたけさんが何かの店の前で休憩していた。

ダイナミックな景色。伝わるだろうか。ただ、このあたりからどんどん気温が上がってきていて、今日は大変だな……という気持ちになっていた。とにかく日陰がない。少しでも日陰があればまだマシだと思うが、直射日光に晒され続けるのはなかなかキツい。

立派な山。あとで「2日目の昼ぐらいに北上してるときに左手に見えた立派なのがMount Rainierか?」って尋ねると、たぶんそれは違うとのこと。Mount Adamsだろうか。

90km地点ぐらいで最初の登りを登り切って、あとは次のGoldendaleまで平坦なのかなと思ったが甘かった。RWGを拡大すればわかるが、小さいアップダウンが続いている。平坦なんてほとんどない。アップダウンアップダウンアップダウン……うぅ……

Goldendaleのコントロールに到着。吉岡さんがいた。たけさんも少しして到着。自分はもう暑くてヘロヘロ。お腹が減っていたので大きいサンドウィッチと菓子パンみたいなのを買ってくると、隣りにいた参加者が「お前そんなに食うのか。どんだけ腹が減っているんだ」とか言ってきた。アメリカ人からしても食いすぎらしい。サンドウィッチ一つで満腹になったので、パンは背中に突っ込んで、水を満タンまで補充して再スタート。吉岡さんもたけさんも先に出発してた。

Noと言える力

米国の方々、追い越しや止まっている人をパスする際に「How’s it going?」とか「Are you OK?」と声をかけるので、まぁ何も考えずに「Thank you!」とか「Fine!」と返すのだが。

「Are you OK〜?」

「No!!!!!」

「え、Noなの(笑)」

Goldendaleを出発してちょっと行ったことろで、自分もみなさんに倣って止まっている人に「Are you OK?」と声をかけて通り過ぎると、後方から「No!!!!!」っていう返事が聞こえたので引き返した。Noと言える力、大事だと思う。メカトラだったのだが、残念ながら自分の手持ちの工具では力になれなかった。先に行かせていただく。

「すまんかったな。わざわざ止まってくれてありがとう」と一言。紳士だ。

雄大な景色

そういう出来事があった後の130km地点からの渓谷を下って登ってがこの日一番感動した景色かもしれない。

まるでツール・ド・フランスの山岳ステージのようだった。

ちょっと下って登り返すだけと思っていたが、このまま1000m近くまで登るので実は結構大変。予習不足だった。暑さで水はどんどん減るし、エネルギー補充用のジェルもどんどん消費されていく。特に水がヤバくてほぼ底をつく寸前。この登りの途中にスタッフによる水のサポートがあって本当に助かった。当初はなんでこんなところに水だけのサポートが?と思っていたが、確かに必要なサポートだ。冷たい水、めっっっっっっっちゃうまい。ハイドレーションパック、ボトルともに氷を入れて水を満タンにしてもらった。

しばらく登りが続くが、登り切ってしまえば次のBickletonは近い。またアップダウンの連続なんですが。

Bickletonのコントロールではたけさんや吉岡さんが休憩中。普段、日本のブルベではアイスなんて食べないが、さすがに暑くて耐えられないのでアイスクリームを注文。体内から冷やしたい。

またまた地平線に向かって走れ!みたいな景色が続く。山というか大きな丘というか、そういうものを越えると、眼下に緑の町並みが広がる。Mabton、Sunnysideといった町がある平野部だ。そしてさらにその先に見える山というか大きな丘を越えねばならない。マジか……暑いし眠いしでもうクタクタなんですが……

Mabtonへ下り切ったところにガソリンスタンドがある。吸い込まれたランドヌール多数。もちろん自分も。そして後続のみなさんも。ここでも身体を冷やすために冷たいものをグビッと。

暑くてバタンキュー

Mabton、Sunnysideの町を抜け、もう一度山というか大きな丘というか、そういうものを越えるわけだが、時間も18時を過ぎて眠くなってくる。暑さにやられていることもあって、とにかく日陰、日陰……という状況になり、途中で見つけた日陰に吸い込まれる。自転車を倒してそのままバタンキュー。10分ぐらい仰向けに寝転がる。といってもただの道路の脇だが。

走行再開して登り始めると、たけさんも道路脇に座り込んで休憩していた。

そして2日目もナイトライドへ。

やって来ましたHanford Site(のゲート)。長崎に落とされた原爆に使われているプルトニウムは、ここで精製されたものらしい。今でも核汚染の問題が残っている地域とのこと。

すっかり日は暮れ、到着したのがVernitaのサポート。Bickletonで寝てた人、また寝てる……

悲しみの落車

Vernitaを出発し、暗闇の農場地帯を走って到着したのがMattawaのコントロール

こちらがCascade 1200で一番悲しかったシーンである。

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22時を過ぎているので街中の店ではなく、ガソリンスタンドの前でスタッフがコントロールを開設しているのだが、すっかり忘れていてコントロールはもう少し先だと思い、ガソリンスタンドを通り過ぎようとしてしまった。

「おーい!コントロール!」

と突然呼び止められ、あーそうかと思って急に右にハンドルを切ったところ、下が砂利だったので、そのままズズズと滑って落車。悲しい。

最初に気になるのはおにゅうのCascade 1200ジャージが破れてないかどうか、右側に倒れたのでリアディレイラーが大丈夫かどうか、身体の心配は一番最後。幸いいずれもダメージはなさそうなので、走行続行に支障はなさそう。こんなところで落車DNFとか笑えんので、本当に運がよかった。

最大の危機・サンダーストーム

Mattawaのコントロールを出ると、Quincyのオーバーナイトコントロールまで60km程度なのだが、最後のこの区間が2日目で一番疲弊した区間だと思う。

Mattawaを出発して快調に走っていたのだが、最後の登りが終わる数km手前で急に風が強くなり、遠くでは稲妻がピカピカと光り出す。風はどんどん強くなり、道路の右端を走っているとそのまま道路外まで押し出されそうになる。車が通ることもないので、頑張って道路の左端まで行き、ジリジリと右に押し戻されつつ、また左端まで戻って、風に押されて右へ……みたいなことを繰り返す。Google Mapsで見ればわかるが、周りに何もないところなので風の影響をもろに受けてしまう。真夜中にスマホ圏外の何もないところでサンダーストームに遭うと「これは遭難なのでは……」ってドキドキが止まらなくなる。

goo.gl

こういうところで風が吹き荒れるとマジどうにもならない。

後日、SIRのFacebookグループに投稿されていたが、新聞記事になるぐらいのサンダーストームで、時速50〜60マイルの突風を伴うものだったらしい。自分は登りがあと少しで終わるところだったので、下り始めてからはあまり影響を受けなかったけれど、自分より後ろのグループはこのサンダーストームでDNFした人が何人かいたらしい。本当に遭難したのではないかと思うぐらいの状況だったので、無事走り抜けられたことに感謝。

Quincyまで緩い登りになっているのが恨めしかったが、最後の一踏んばりでやっとこさQuincy High Schoolに到着。時刻は3:50であった。ささっと食事を済ませ、シャワーを浴びてさっさと寝ることにする。Quincyのクローズは8:04なので、6:30ぐらいまで寝てクローズの少し前ぐらいに出発するか……と思って就寝。

大変な一日だった。