highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

ヒミズ

Himizu | Netflix
すっかり漫画を読まなくなったけれども、以前は古谷実作品は全部読んでたので、Netflixヒミズが目に止まった。原作は、自分自身は普通だと思っているけれど、客観的に見れば普通ではない境遇の中学生の住田が、普通の生活を求め、絶望し、最終的に拳銃で自殺して終わるという話で、救いがなく、古谷実の方向性が随分と変わったと思ったものだった。
普通というものが何なのかは定義が難しい。主人公の住田は自分が普通の人間であると思っているけど、普通ではない。クラスメイトの茶沢さんが詩を引用して何度も言うように、「何だってわかる、自分以外のことなら」と、自分自身のことは何もわからないのだと思う。母親が出ていき、父親を殺しとところで、初めて自分が普通ではない境遇にいると認識した住田は、それならばと社会の役に立つべくクズを殺し、社会の役に立ち、自殺する前提でおまけ人生を送る。しかし、結局何もできない。
原作では最後に、絶望し、住田は自殺する。なんとも心の重くなる終わり方である。一方で映画では茶沢さんと二人で未来の希望に向かって走り出して終わる。なんだこりゃと思ったが、撮影の直前にに東日本大震災が起こり、この大災害を無視できない園監督が、台本を大幅に変えて、希望を描いたとのこと。普通ではないことに絶望しても、生きていれば希望があるというメッセージになっていて、被災地を意識したものになってる。
でも、大震災を取り入れて、台本を変更してまでやる意味があまりわからなかった。原作をアレンジするのは全然かまわないし、アレンジすることでよいものができることもあるのだと思うけど、正直、この作品では震災の話があまりストーリーに影響を与えているように思えなかった。震災の映像もなんだかうまく噛み合っていないように思えた。震災の後に、普通ではないことに絶望して自殺するストーリーなんてあまりに救いがないので、時代的にはこれでよかったのかもしれないけど、なんかしっくりこなかった。
あと、二階堂ふみ、かわいい。よかった。

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