highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

2018 Cascade 1200 Day 1 : Welcome to Seattle!

当日である。ライダーミーティングが終わって部屋に戻ったものの、時差ボケもあってなかなか眠れず、2〜3時間うとうとしただけで目が覚めてしまった。そして部屋の外を見てみると雨が降っている。Seattleは雨が多い街だとは聞いていたが、なにもスタート前に降らなくても。ただ、天気予報と雨雲レーダーを確認すると、スタートする頃には止む可能性が高い。レインウェアを着込むほどのものではなさそう。今降っている雨がスタートまでに止みますように……と祈る。頼む!

スタートまで時間があるので、薄暗い部屋の中で写真を撮り始めたりする。時間を持て余している。

白い粉キメていくぜ!ちなみに、白い粉の効用に”improves mental acuity”とあったのでたぶんヤバいやつだと思う。

ジャージはきれいなブルー。Randonneurs USAのキャップはSusanさんから日本人参加者へのプレゼント。ありがとうございます。

荷物をまとめた。出発準備OK。

1日目はCascade 1200ジャージとRUSAキャップで走る。

4時頃にフロントに出ると、参加者のみなさんが準備を始めていた。

自転車はいつもと変わりなし。装備もいつもと同じ。いつもと同じというのが大事。

まだ少し雨が降っているが仕方ない。ドロップバッグ、飛行機輪行用ケースを預け、スタート地点へ向かう。*1

スタートへ

やってきました。Space Needleです。

ぞろぞろと他の参加者も集まってくる。ブリーフィングは前日に済んでいるので、スタート地点のサインをもらい、スタート時刻を待つだけ。スタートの雰囲気は日本の普段のブルベと変わらない。ウェーブスタートのようなものはなく、60人が一斉にスタートするようだ。まだ雨が降っているが、幸先が良いと思うことにする。止まない雨はないのだ。

さて、1日目のコースは以下の通り。

Seattle市内を抜け、カントリーサイドを南下。最初のサミットはSkate Creek Roadの159km地点。Mount Rainierの麓を通る道路だ。下ってしばらく平坦を進んだ後、258km地点のElk Passに向かう。Elk Passから下ると次は310kmのOldman Passへ。そして357kmのStevenson High Schoolのオーバーナイトコントロールまで下る。Google Mapsで信号がほとんどないというのは確認済みなので、かなり緩めに見積っても20時間ぐらいあれば十分だろう。不安はあるが、走り出してしまえばなんとかなるものである。なんとかなるという精神で普段のブルベも走っているのだから、たぶんなんとかなるのである。

ほぼ5時定刻。一斉にスタートする。Seattle市内はまだ交通量はほとんどなく、参加者は道一杯に広がって走る。日本だとダメだと思うが、こういうものなのだろうか。車もクラクションを鳴らさずに大きく膨れて集団をパスしていく。

※いつもは面倒臭いのでやらないけど、今回は写真を撮ってないところは動画から切り出した画像を使う。

SAFECO FIELDやBOEINGなど、Seattleといえばという場所がルート沿いにある。まだほとんどバラけず、日本からの参加者のみなさんも近くにいる。近くの人と喋りながら集団についていく。

そういえば走り始めてすぐに気がついたことだが、スプロケトップギアが磨り減っているのか、全然ギアが使えない状態になっていた。直前にチェーンを新品にしたときにスプロケはそのままでいいやと思って交換しなかったが、やっぱり摩耗していたらしい。10000km以上もチェーンを交換せずに伸び伸びの状態で使っていたので、そりゃむべなるかなというものだ。

Interurban Avenue Streetという広い道路を快調に南下し、Green River Trailに入る。サイクリングロードみたいなもの。集団のまま最初のコントロールであるKentに到着。

スタッフの方が順にサインをしていくので、サインちょーだい待ちである。ここまで大集団で来ていたが、このコントロールである程度バラけた。少しずつ前後の参加者との間隔が広がり、いつの間にかいつものように一人旅へ。

最初に乗っかっていたトレインがそこそこ速かったので、あー最初から張り切りすぎてしまったと後悔していた頃である。自分のペースが大事と反省しきり。いくつか街を抜ける際にマクドナルドのようなお店を見かけたが、特に食糧が足りていないわけでもないのでスルーしていく。

Thomasさん

90km地点でガソリンスタンド併設のお店が見えてきた。他の参加者も立ち寄っているみたい。全然休憩することなく走ってきたし、そろそろお腹も空いてくるので一度休憩を入れる。

ここで会ったのがTennesseeから来たというThomasさん。アジア系のアメリカ人っぽい。少し会話を交わして先に出発しかけたが、「やっぱり一緒に行こう。集団で行った方が楽しい。ブルベには楽しさが重要だ」と言って引き返してきた。断る理由もないので一緒に走り始める。自転車の話などなど、普段のブルベと変わらない世間話をしながら走る。

ちなみに90km地点で休憩した際にSwarmでチェックインしようとしたら携帯電話の圏外であった。まだ都市に近いところでこれなのだから、今後もほとんど圏外だろう。Swarmでチェックインできなくてつまらないが、いちいち圏外かどうかを確認するのが面倒くさい。チェックインすることが目的ではないし。

Alder Lakeという湖らしい。Mount Rainierの文字も出てくる。しかし残念ながら曇り空。そして雨がポツポツと降り出している。

Elbeの雑貨屋で休憩。レインウェアを着るべきか迷ったが、今ぐらいの雨ならまだ大丈夫と判断してそのまま続行。Thomasさんはタンデムの二人と一緒に行こうと画策している。集団で行った方が楽しいという信念に忠実だ。ただ、対向の自転車乗りや歩行者にまで「Hey! Come ooooonnn!!!」と声をかけるのはどうかと思った。

Welcome to Seattle!

Mount Rainier National Parkのエリアへ。いかんせん天気が悪い。たまたま近くにいたタンデムのIanさんとSierraさんに「Mount Rainierはどれ?今日は見えないの?」と聞いたら、「雨降ってて見えるわけないだろう。これがSeattleだ。Welcome to Seattle!」という答えが返ってきた。1日目のハイライトはMount Rainierを拝むことだったのだが。残念。

Thomasさんは「Pee time!」と言って立ちションし始めた。いいのか。結局自分もした。

Skate Creek Roadのサミットは峠というほど大変なものではなく、そういった看板もないので何事もない内に通過。一気に下ってPackwoodのコントロールへ。雨はすっかり止んだ。眠い。

アメリカっぽいの食ってるな。これ一個で満腹になったはず。お店の方にサインをもらう。

Thomasさんは相変わらず誰か一緒に行く人はいないかと見渡し、見つけたのがCaliforniaのHectorさん。RUSAのSRジャージを着ている。二人はどうもGold Rush Randonneeで一緒だったことがあるらしい。しばらくは平坦だが、向かい風が強くなってきていたので、Hectorさんの「ロゥティ!!」の掛け声でローテしていく。

平坦区間が終わって少し登ったところにあるのがCispusのコントロール。吉岡さんと入れ替わりだった。ただの河原にバンで乗り付けてテーブルや椅子を置いただけのシンプルな運営だが、食べるものや水を用意してくれいていたのでありがたい。

リカンベントをシングル化しようとしていたクレイジーな方がいた。結局DNFになったようだ。

極悪非道な行い

1日目のチマコッピであるElk Passに向けて登り始める。ThomasさんもHectorさんもあまり登りは速くないので、ペースを合わせて走っていると寝る時間があんまり確保できないんじゃないかという不安や危機感が出てくる。登りでのお馴染みのトーク、「お前のギアはいくつだ?」とか、「何歳なの?」というこれまたありがちなトークをし、「ハハ、若いってのはいいな!」というコメントをいただきながら登っていく。前の方々も吸収しつつ走っていると、ThomasさんがHectorさんを置いて一人でするすると前に行ってしまった。

ここで悪い自分が出てきて、「このままThomasさんもパスして行ってしまおう。寝る時間が大事だ」と囁く。せっかく一緒に行こうと誘ってくれたんだしと思いながらも、悪い自分の誘惑に負け、遊びと見せかけてThomasさんをパスしてそのままアタック。斜度もそんなにきつくないところだったので、後ろを振り返らずにペースを上げていく。二人を見捨ててしまった。さようなら、Thomasさん、Hectorさん。ありがとう。極悪非道な行いだ。

Elk Passの登りが終わる少し手前で吉岡さんも発見。

19時を過ぎてもまだ明るい。サミットには何かしらの看板があるだろうと期待していたが、特に何もなかった。味気ない。

Northwoodsまで30km近く下る。ここで厄介なのが眠気である。夕方は時差ボケで眠くなる時間帯なのだが、ガードレールがない下りなので油断するとあの世行きになってしまう。適宜写真を撮るための停車を入れ、安全に安全に下る。といっても、半分寝ているような状況であるが……。全行程でここが一番眠くてやばかった。

下りの途中に見えたのはMount St. Helensのはず。すばらしい。

着いたのはNorthwoodsのEagle Cliff Storeというお店。20時以降は近くでSIRのスタッフが食糧や水を用意してサポートするとのこと。幸い20時を過ぎても店が開いていたので、店で買い物。店の前にオーバーオールを着た恰幅のいいお姉ちゃんがいたのだが(ギャハハと笑いながら大ジョッキで牛乳飲んでそうな感じ)、あまりのテンションの高さにすっかり怯んでしまい、端っこの方に自転車を停めて休憩。

ピューマの恐怖

再スタートしようとする頃にはすっかり日も傾いた。ナイトライドへ突入となるのだが、一人で出発したのが大失敗。他の人が出発するのを待てばよかった。国立公園内の森の中なので、街灯はないし車が通ることもほとんどない。明かりは自分の前照灯だけの暗闇の世界である。

ピューマがサイクリング中の男性襲う、1人死亡 米ワシントン州 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ここで頭を過るのが、5月にカスケード山脈でサイクリストがピューマに襲われて亡くなった事件。正直、ピューマやグリズリーが出てもおかしくないし、遭遇したら負けは確定だろう。とにかく少し前に出発していった方々に追い付かなくては……!!という一心で黙々と登っていく。

Oldman Passのサミットに到達する2kmぐらい手前だったか、やっと前方に数台のリアライトが見えたので、さらにペースアップして合流。なんとか獣には遭わずに済んだ。本当によかった。

あとはオーバーナイトコントロールまで下るだけ。長い長い下り。そしてColumbia River沿いに出て、Stevensonの町へ。やっと終わったと思ったら最後の最後に結構な斜度の登りがあってうんざりした。日付が変わった0:30頃に到着。ほぼ予定通りという感じだろうか。

オーバーナイトコントロールでは夕食にタコスの提供があった。ありがたい。

タコスを食べ、先に到着していたたけさんとしばらく喋り、シャワーを浴びて、体育館のようなところに敷かれたエアマットレスに寝袋というスタイルで1:30ぐらいに就寝。Stevensonのオーバーナイトコントロールのクローズ時刻は6:30なので、5:00ぐらいには起きて少し余裕を持って出発するかな……などと翌日のことを考えながら眠りについた。

*1:ドロップバッグは毎日オーバーナイトコントロールへ運んでくれる。飛行機輪行用のケースやその他の不要なものは、スタート地点で預けるとゴール地点のSnohomishまで運んでくれるサービスもある。ただし、ゴール地点で受け取らないといけないので、DNFした場合はどうにかしてSnohomishに辿り着かねばならない。