highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

佐藤喬「アタック」 山本元喜「 僕のジロ・デ・イタリア」

最近読んだ自転車関係の本。「アタック」は佐藤喬さんが著者、山本選手のブログが元になった「僕のジロ・デ・イタリア」の方には編集協力として関わっているそう。佐藤喬さんというのは「エスケープ」という2014年の全日本選手権をテーマにした本を書いた方だが、このエスケープというのが非常にいい本だった。

2014年の全日本選手権で、選手がどういう思いで走っていたか、レース中にどんなことを考えていたかを丁寧に取材してあり、そうそうロードレース関連で読みたいのはこういう本なのだと思ったものだ。アタックはその一年後の全日本の話。14年に全日本を制した佐野選手が若いチームに混じって戸惑い、悩みながら全日本に向かう話。「アタック」は15年の全日本を勝った窪木選手が中心に書かれている本ではないのだが、那須ブラーゼンの地元開催に前年覇者として挑むということを考えると、やはりこれが一番読ませる形になるのではないか。レース中に各選手がどんなことを考えて走っていたか、他の選手の動きについてどう思ったかも丁寧に書かれていて、ロードレースのおもしろさはこういうとこなんだよなぁ~としみじみと実感。

日本語でこれだけの内容があるドキュメンタリーを書いているのはこの著者ぐらいなのではと思っているのだが、その著者が編集に協力したのが山本選手の「僕のジロ・デ・イタリア」である。山本選手はブログにレースレポートを書いているのでお馴染みだが、本として一冊のパッケージになった結果、とても読み易いレースレポートになっていると思う。ブログを見ていても、元々読ませる文章を書く人だけど、佐藤さんぽいなという仕上り具合を感じることもあり、これもまた必読の一冊ではないかと思う。

ロードレースは人間臭いスポーツだからこそ、レース中の思惑が丁寧に書かれた書籍って貴重だし、読み応えがある。最近の自転車関係ニュースサイトの記事ってレース後に選手のツイッターからコメント拾って載せて終わりみたいなこともあり、それは読む価値がないのでは?と思っているので、佐藤さんのようなライターには活躍してほしい。

アタック

アタック

僕のジロ・デ・イタリア

僕のジロ・デ・イタリア