highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

ツール・ド・フランス三週目のまとめ

いよいよ勝負のアルプスへ。

第16ステージ

最終週の初日はダラダラと登って、最後に2級山岳を越えてゴール。総合勢はアルプスまで動きはないかなと思っていたら、2級山岳の登りでコンタドールが単独でアタックをかましてきた。様子見なんて感じじゃなく、もう行き切ってやるという勢いで、追走できたのはエヴァンスとサムエル・サンチェスの二人。シュレク兄弟やヴォクレールは集団に取り残されてしまう。三人は下りでもどんどん後続とのタイム差を広げ、シュレク兄弟から大きくタイム差を稼ぐことに成功。アンディが下りに関してヘタレな言い訳をしていたけど、なんだかなぁという感じ。
ステージ優勝はフースホフトエヴァンス達よりもさらに前で逃げていた面々からフースホフトとボアッソンハーゲンのノルウェー人二人が抜け出したけれど、最後はチームメイトのヘシェダルのアシストもあって、フースホフトがスプリントで勝利。山岳コースで二勝目のスプリンターw
集団もゴールして、あとはグルペットを待つだけかという空気になっていたら、カヴェンディッシュがアシストも従えずに一人涼しい顔でゴール。山岳ステージなのになんでこんな上位で帰ってきてるんすかw

第17ステージ

アルプスの山岳三連戦初日。1級山岳を越えて長いダウンヒル、そして2級山岳を越えるプロフィール。逃げグループの中から2級山岳で動いたボアッソンハーゲンがその後を独走に持ち込んで今年のツール2勝目。二人しか出てないノルウェー人がステージ4勝目w
総合争いは2級山岳でレースが動く。コンタドールが登りで何度かアタックしたものの決定打にはならず。しかし下りでさらにアタック。サムエル・サンチェスヴォクレールを引き連れて後続を引き離しにかかるけども、この3人ではヴォクレールが危っかしく、あぁ!と思わせるシーンを演出したかと思えば、ついに下りでオーバーランして沿道の民家のガレージにきれいにダイブ、そして着地。逃げ集団でも同じミスをやらかしている人がいたので本日二人目のガレージ侵入w
STAGE 17 - Image of the day / L'image du jour - YouTube
サムエル・サンチェスは元々下りが速いけど、コンタドールが下りをあんなに攻めたらメチャクチャ速いってのは意外であった。で、コンタドールサムエル・サンチェスと共に二人でゴールに向かうけども、人数で勝る後続集団が必死の追走でなんとか差をつけられずにゴール。ヴォクレールがミスせずに三人でローテーションを回せていれば……と思うところだし、ヴォクレールにとってはタイムを失う痛恨のミスといったところ。

第18ステージ

今年のツール最大の山場。超級アニェル峠を越え、超級イゾアール峠を越え、超級ガリビエ峠の頂上フィニッシュ。総合に大きく変動があること間違いなし。そしてこの日はレオパード・トレックの作戦が見事にハマった。
逃げ集団にモンフォールとポストゥーマを乗せることに成功したレオパード。二つ目の山岳イゾアール峠の登りの半ばでフォイクトさんの牽きからアンディが飛び出す。これに誰も反応せず、アンディはそのまま独走状態で先行。逃げていたポストゥーマのアシストを受け、イゾアールの下りではもう一人逃げていたモンフォールのアシストを受けて快調に差を広げていく。下りでは、アンディが先導役のモンフォールのお尻を押す場面が何度もあって、アッー!!
そのままアンディは逃げグループを全部飲み込んでガリビエの登りへ。後続のメイン集団ではサムエル・サンチェスコンタドールのスペイン連合が何やらヒソヒソ。エウスカルテルの選手もわらわら集まってきたし、これはチームの枠を越えた無敵艦隊スペイン連合の流れ!!……であるが無敵艦隊は撃沈してナンボということで、サムエル・サンチェスは早々に遅れ、コンタドールも動かない。
そんなコンタドールを恐れていたのか、集団はお見合い状態で膠着。その間にもアンディはどんどん後ろとの差を広げているわけで、とうとう痺れを切らしたエヴァンスが先頭に立って追走開始。こういう場面でただ一人先頭を牽くエヴァンスさん、盛大に貧乏クジを引いてしまった。ヴォクレールもついていくがエヴァンスの前には出ず、ローランも後にくっついていくだけ。結局ガリビエの登りのほとんどをエヴァンス一人が牽いて、後ろはついてきただけ。あぁなんという貧乏クジw
で、残り2kmではコンタドールが脱落。山岳で遅れるコンタドールとかありえない気もするけど、調子が悪かったのだろう。そう考えると、このコンタドールを恐れて動けなかった後続集団のみなさんは大変運が悪い。そして先頭で追走せざるをえなかったエヴァンスさん、本当に運が悪すぎるw
結局、アンディが差を詰められながらもガリビエを先頭で登り切り、後続集団がそれに続いたけれども、有力勢から大きく遅れたコンタドールの総合優勝は非常に厳しくなった。で、なんだかんだでヴォクレールマイヨジョーヌを守るという奇跡が続く。

第19ステージ

後世に語り継がれるステージってこういうステージのことなんだと思う。昨日の失速で失うものはなくなったコンタドールが、王者の意地を見せるというのに相応しい攻撃的な走り。1級山岳テレグラフ峠を越え、前日とは違うルートからガリビエ峠を越え、最後は超級山岳ラルプデュエズへの頂上ゴール。
スタートしてすぐに逃げ集団ができていたけども、コンタドールが最初の山岳のテレグラフ峠の半ばでアタック。これにアンディとエヴァンス、ヴォクレールが反応したが、エヴァンスはメカトラで集団に後退。コンタドールは後ろを気にせず、快調に飛ばしていくので、本日の逃げ集団はほんと涙目。ヴォクレールもついていくもののギリギリの走りで、少しずつコンタドールやアンディから離されていく。そんなとき前を牽いてアシストをしたのはチームこそ違えど同じフランス人のピノー。1級山岳の頂上までピノーが牽き、下りに入ってヴォクレールがポンと背中を叩いて感謝を示す場面も。前を追うヴォクレールをさらにアシストしてくれたのは、これまたチームの違うフレチャ。第9ステージの落車云々で険悪な雰囲気になどという話もあったが、フレチャが前を牽き、最後にはフレチャヴォクレールの尻を押して送り出す場面も。レースもクライマックスに差しかかり、ヴォクレールの奇跡的な奮闘に、チームの枠を越えたアシストができあがっていた。
コンタドールたちはそのままガリビエ峠も先頭で通過。しかし、ガリビエの登りでついにヴォクレールがついていけなくなった。一旦、後続集団に吸収され、そこからさらに遅れたけれど、ヨーロッパカーのアシスト陣に守られながらの追走。ガリビエ峠の下りではサムエル・サンチェスが異様に速い下りを披露して、あっちゅー間に先頭のコンタドールのグループに合流。他の選手が下りでも踏んでいるのに、全然踏まないサムエル・サンチェスの方が速い。さすが下りの名手。後続集団は今日もエヴァンスが先頭を牽き、なんとかラルプデュエズ前までにコンタドールのグループを捕まえたけれども、ここでも先頭を牽かされるエヴァンス、本当に貧乏クジを引きまくりである。そうこうしていると、エヴァンスのグループよりさらに後ろにいたヴォクレールのグループも追いついてきてレースは振り出しに。
そして、合流と同時にヨーロッパカーのローランがアタック、ここまでヴォクレールを守ってきたけど、自分の新人賞もかかっているわけで、アシストの役目から解放されて新人賞を狙うべくラルプデュエズの登りへ。その後ろのメイン集団からは、またコンタドールがアタック、これがまたすごいアタックであっという間に先にアタックしたローランたちをパスして先頭へ。なんというか、あぁこれがチャンピオンの意地なんだなぁという凄みを感じさせる走り。とはいえ、一人だけ違うペースで突き進むもさすがに最後まで持つわけではなく、最後はローランとサムエル・サンチェスに捕まって、ステージ3位。優勝はローラン。
ここまでマイヨジョーヌを守ってきたヴォクレールもついに陥落、アンディへマイヨジョーヌが渡った。

第20ステージ

個人TTで最後の勝負。
総合順位の下から順にスタートということで、カンチェラーラは早々にフィニッシュ。宇宙人にしてはタイムは平凡。カンチェラーラが走った時間は天気が悪く、徐々に路面が乾いてきたってこともあって、条件がよくなかったか。
結局、ステージを勝ったのは人類最速と言われていたマルティン。前日と前々日でタイムアウト喰らってるのはどうなのって話を置いておけば圧巻の走りだと思う。いや、タイムアウトはどうなのよというのが本音だけど。
何よりすごかったのはエヴァンス。アンディに対して57秒差あったビハインドを中盤までに追いついて、後半はアンディとの差を広げる一方。不運な2ゲッターがついに文句なしの総合優勝である。貰い泣きした。
STAGE 20 - Image of the day / L'image du jour - YouTube
これに対してアンディはスタート前からガッチガチに緊張、イレ込みすぎなのが一目でわかるほど。元々TTも遅いし、今回は仕方なしの2位。山岳でもっと攻めてタイムを稼ぎにいくべきだった。
新人賞対決はローランがタラマエにTTで差を詰められたもののリードを守り切り、ヨーロッパカーはヴォクレールの総合4位と合わせて大成功のツールであった。