highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

イカロス

Icarus | Netflix Official Site

Netflixでは作品を見終わった後にサムアップ、サムダウンを選べるが、この作品についてはサムアップを連打したい。非常に評価の高い作品ということは事前から認識していたので、マイリストに入れておいて、時間があるときに腰を据えてじっくり見ようと思っていた一本。日曜の晩にやっと見た。

本作の監督であるブライアン・フォーゲルはアマチュアの自転車選手でもあり、レースで好成績を収めようとドーピングをすることを決め、ロシアのアンチドーピング機関所長ロドチェンコフ氏の助けを借りて、ドーピングプログラムを進めていく。もちろんドキュメンタリーなので、ドーピングプログラムの一部始終は映像として残っている。そんな中、ソチオリンピックでロシアが国家ぐるみでドーピングを行っていたことがドイツの放送局によって報道され、ドーピングの一翼を担っていたロドチェンコフ氏はアメリカへ逃亡。国家の関与を米司法省へ証言し、全貌が暴かれていく、という内容。もともとの目的から話が急展開していくが、一々映像として残っているので一つ一つのシーンが生々しい。

このドキュメンタリーでフォーカスが当たるのは国家。ドーピングで成績を向上させ、栄誉に輝くのは選手自信ではあるが、結局は国家の国威発揚のドーピングシステムのちっぽけな一つの駒に過ぎないように思えてしまう。ドーピングが当たり前の世界において、大きな闇に取り込まれると、選手が「No」と言えないのは仕方がないことだ。選手個人を責めても意味がない。まぁそれにしても、みんなカジュアルに注射してるけどね!

で、自転車で言うと、比較的ドーピングが目立つのは、グランツールに向けてだと思うが(ワンデーを狙うべくというよりグランツールを狙うべくドーピングするという方が多い印象)、こうなってくると、そもそも三週間のステージレースというのは人間が行うスポーツとして成り立つものではないのでは?という気もしてくる。正直、個人的にはもう三週間のステージレースは冗長だとすら思っているので、グランツールを二週間に短縮するなどといった大胆な改革案が出てきてもいいと思う。まぁこんなの今の欧州中心の自転車界にできるわけがないだろうし、それぐらい自転車界にはもう期待してないが。