デイヴィッド・フィンケル著の二冊

先月、一気に読んでしまった。デイヴィッド・フィンケルというジャーナリストが書いた「兵士は戦場で何を見たのか」と「帰還兵はなぜ自殺するのか」の二冊。

戦地に送り込まれた兵士達が仲間の負傷や死を目の当たりにして壊れていくのが「兵士は戦場で〜」の方、そして生きて帰国した兵士達がメンタルをやられて壊れていくのが「帰還兵はなぜ〜」の方。「兵士は〜」はイラクに派遣された大隊に密着取材し、戦争のミクロな部分をクローズアップしている。たまたま仕事で中東を担当しているので、今でもニュースをチェックしていると兵士が何人死亡しただのというニュースはよく見るが、そこを見ているときの自分はマクロな視点で戦争を見ているに過ぎない。死者数はただの数でしかない。現実には泥臭いこと、目を背けたくなることが実際に起きているが、そのことを知る由もない。爆弾で手足が吹き飛ばされたり、即死したりしているはずだが、自分が見ているのはその結果としてのニュースだけでしかないし、ほとんどの人がそうなのではないか。で、そういった目を背けたくなるような経験をして、帰国した兵士達が苦悩し、メンタルが壊れ、周りを巻き込んで崩壊していく様子を取材したのが「帰還兵はなぜ〜」である。もともとこっちが先に翻訳され、出版されたようだが、これを出版した以上、前編にあたる「兵士は戦場で〜」を翻訳・出版するのは出版社の責務だということで、出版に至ったのだそう。「帰還兵はなぜ〜」も戦争の影に隠れがちだが、重要なテーマだと思う。兵士は戦地から帰還しても、それで終わりではないんだな。戦地での積もり積もった精神的ストレスが爆発し、日常生活に支障が出る。家族も支え切れずに鬱病になる。救いがない話だった。この二冊を読んで、戦争はいけないというのは簡単だと思うが、実際に話し合いでわかり合える相手ではない場合、どうしたらいいんでしょうね。こういうのは社会的コストなんだと割り切って、粛々と対応していくしかないのだろうか。

兵士は戦場で何を見たのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-7)

兵士は戦場で何を見たのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-7)

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

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